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予防鍼灸研究会 特別例会2022 抄録集
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予防鍼灸研究会 特別例会2022 抄録集
 
 
特別講演「朝起きが苦手なフクロウ型に対する漢方治療を中心に 〜生薬の薬能・薬性を生かす〜」
 
久留米大学医療センター先進漢方治療センター
 
惠紙英昭

 
目的:山本巌が1980年に東医雑録のなかでフクロウ型と苓桂朮甘湯について記載した。フクロウ型とは、「朝寝の宵っ張り」で寝ていたい、日曜日は昼頃まで寝ている、朝は頭がボーッとしているが夕方から夜にかけて最も元気、朝食は欲しくない、夕食が美味しく食べるが、体がしんどい、疲れやすい、体力がない、頭が痛む、肩がこる、胃が痞え重苦しい、吐き気がある、胃が痛む、めまいがする、手足が冷える、など多主訴な病態である。内科や小児科を受診しても異常がなく西洋医学的には不定愁訴症候群、自律神経失調症、気分障害、睡眠相後退症候群と診断される。演者が正しくこの病態で苓桂朮甘湯の効果を実感した。そこで遅刻や欠席が多い学生や社会人、コロナ禍で睡眠・覚醒リズムが乱れている人々の社会適応を向上させる目的で診療を行っている。

 
対象と方法:久留米大学医療センター先進漢方治療センターにおいて2018年8月に「フクロウ外来」を開設した。西洋医学的および漢方医学的診断、STAI(不安尺度)、CES-D(抑うつ尺度)、TEG、QOLを用い、心身両面から病態を把握し、精神療法、睡眠衛生指導、ストレッチを指導し、漢方治療を行いながら鍼灸もすすめている。
 

結果:小学生から70歳代までの患者が受診し、ほとんどの中学生、高校生、大学生は朝起きが苦手で倦怠感を伴っており、周囲に者と比べて午前中の心身の活動が低く、周囲からなまけ者のレッテルを貼られ自信を喪失していた。フクロウ型には苓桂朮甘湯を中心に、補中益気湯、五苓散、半夏厚朴湯、桂枝茯苓丸、当帰芍薬散、葛根加朮附湯など多くの漢方薬を併用した。子ども達の多くが自分にあった目標を見いだし自己実現のため前向きに生活できるようになっている。
 

結論:生活習慣が夜型で多愁訴を生じ社会生活に支障をきたしているフクロウ型は、医療の本質である心身一如をもとに治療する必要がある病態である。
 
 
略歴
 
1987年久留米大学医学部卒業・神経精神医学講座入局、1996年医学博士、2000年久留米大学医学部講師、緩和ケアセンター専任、精神神経科局長、病棟医長を経て2009年先進漢方医学講座(寄附講座)准教授、2013年同講座教授、2015年久留米大学医療センター先進漢方治療センター教授、副院長。<専門医・指導医>日本精神神経学会、日本東洋医学会、日本総合病院精神医学会、日本臨床精神神経薬理学会 <学会代議員・評議員>日本東洋医学会、日本サイコオンコロジー学会、日本総合病院精神医学会、日本精神科救急学会、日本生物学的精神医学会
 
 
 
教育講演「頭痛に対する鍼治療と疼痛関連領域の脳機能の変化」
 
筑波技術大学 保健科学部
 
石山すみれ
 
抄 録

目的:難治性頭痛に対し欧米を中心に海外ではNeuromodulationという手術が用いられている。しかし有害事象などが問題となっており、近年は非侵襲的なものが主流になりつつあるが国内では未認可の治療である。そこで我々は鍼を用いたNeuromodulationとして片頭痛を対象に治療前後にfunctional MRIを撮像し、疼痛関連領域のFunctional Connectivity(FC)について検討した。
 

対象と方法:症例は前兆のない反復性片頭痛11名、慢性片頭痛6名。鍼治療は後頭部C2領域に対し、長さ50mm直径0.18mmの鍼を皮下に対し15~20mm程度刺入し、50Hz15分の低周波鍼通電療法を行った。治療頻度は週1回3ヶ月間とし、治療前後にresting state functional MRIを撮像した。画像解析はCONNを使用し、関心領域は左右中心後回、島、帯状回前部・後部、扁桃体、視床、視床下部、脳幹とした。結果:前兆のない反復性片頭痛では治療前後で右視床下部―左島のFCで有意な低下を認めた。慢性片頭痛では有意な変化のあるFCはなかった。前兆のない反復性片頭痛では臨床評価項目も有意な改善を認めたが、慢性片頭痛では有意な改善は得られなかった。結論:鍼によるNeuromodulationでは疼痛関連領域のFCを変化させることにより疼痛が改善する可能性が示唆された。
 
 
略歴
 
現職
 
2021年4月より 筑波技術大学 保健科学部 客員研究員
 
 
プロフィール
 
2012年3月 新宿鍼灸柔整専門学校(現:新宿医療専門学校) 卒業
 
2016年3月 筑波技術大学保健科学部附属東西医学統合医療センター 研修修了
 
2017年3月 筑波大学大学院人間総合科学研究科フロンティア医科学 修了
 
2020年4月〜現在 筑波技術大学保健科学部附属東西医学統合医療センター
 
2021年3月 筑波大学大学院人間総合科学研究科疾患制御医学専攻 修了
 
 
症例報告「ソフト指圧によるコロナ後遺症の3症例」
 
金子指圧治療院 金子武良
 
目的:コロナ後遺症に対してソフト指圧が奏功したと思われる3例を報告する。
 

症例1:女性、20代、学生 主訴:右肩甲骨下縁の引き攣れ、嗅覚障害、倦怠感。
経過:コロナ感染後86日目に上記主訴で来院。1診目、全身の冷え。冷えの強い右肩甲骨内縁に黒ずみと硬縮。ソフト指圧実施。冷えは改善し、黒ずみ消失。2診目(120日目)、右肩甲骨周囲の痛み改善、嗅覚も戻る。3診目(183日目)、右肩甲骨周囲痛も消失。

症例2:男性、30代、会社役員  主訴:味覚と嗅覚の低下、倦怠感。
経過:1診目(19日目)は、全身の冷え。冷えの強い胸部に黒ずみ。紅舌。4診目(45日目)、味覚と嗅覚の8割戻る。黒ずみ消失。倦怠感も無くなる。

症例3:男性、20代、会社員  主訴:味覚と嗅覚の低下、倦怠感、息切れ。
経過:1診目(24日目)。全身の冷え、冷えの強い胸郭部に黒ずみ。4診目(52日目)冷えは改善、黒ずみも薄くなり、倦怠感も無くなる。味覚と嗅覚も戻る。息切れも改善。

結果と考察:3症例はコロナ感染後19日~183日に、味覚・嗅覚障害などを主訴とし来院。3例の共通点は倦怠感と、冷えに対する無自覚であった。緊張が強い為、手掌を使ったソフト指圧で響きと波動を与え、冷えが軽快すると、皮膚の黒ずみも消失。味覚、嗅覚も戻った。コロナ後遺症諸症状に関しては、心身両面からの対応が必要とされ、かつ難航することが多い。ソフト指圧に一定の効果があったことは、まずは朗報である。
 

結論:コロナ後遺症の3症例にソフト指圧を実施し、症状が軽快した。この分野での東洋医学、鍼灸の役割も大いにあると考えた。
 
 
略歴
昭和57年 日本指圧専門学校卒業
(あん摩マッサージ指圧師免許 取得) 
昭和61年 金子指圧治療院 開業 
平成27年 日本指圧専門学校 同窓会実技研修会 講師
令和2年 千葉県鍼灸マッサージ協同組合 「ソフト指圧」 講師

今年開業37年目を迎える。
指圧は、浅川指圧治療院にて、故浅川為保先生と故佐藤健一に修業する。独立後は、故三宅時二郎先生に指圧を学ぶ。
日本指圧専門学校同級生である、鶏冠井裕一先生等と定期的に指圧勉強会をしている。人体科学会にて発表多数。
事務局:
〒168-0081
杉並区宮前1-20-29
シャンボール高井戸203
gunkojin@gmail.com

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