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認知症の栄養
管理栄養士・鍼灸師 志村美帆

【背景・目的】高齢化に伴い、認知症患者数も増加している現代において、認知症予防の食事について考察する。

【方法】認知症予防のために意識すると良い食事・栄養素を4つあげ、その4つの具体例をまとめた。

【結果】意識すると良い食事は主に4点ある。①認知症は生活習慣病の一つとも言われるため、まずは栄養バランスの良い食事を心掛けること②認知症と
腸内環境は関係性があるので、腸内環境を良くすること血管に高い圧力がかかり続けると柔軟性がなくなり動脈硬化を起こす可能性があるため、         塩分摂取量に気を付けること認知症予防に効果のある栄養素を意識して摂ることである。

【考察】上記に挙げた食事は、認知症に限らず健康でいるために意識すると良いことであるが、その中でも認知症予防で特に重要なのが、腸内環境を良い状態にしておくことであると考える。なぜならば、腸内細菌叢の状態が悪くなることで、脳のエネルギー代謝障害が起きたり、脳にβアミロイドが蓄積するためである。
予防鍼灸研究会 特別例会2022 抄録集
特別講演「朝起きが苦手なフクロウ型に対する漢方治療を中心に 〜生薬の薬能・薬性を生かす〜」
久留米大学医療センター先進漢方治療センター
惠紙英昭

目的:山本巌が1980年に東医雑録のなかでフクロウ型と苓桂朮甘湯について記載した。フクロウ型とは、「朝寝の宵っ張り」で寝ていたい、日曜日は昼頃まで寝ている、朝は頭がボーッとしているが夕方から夜にかけて最も元気、朝食は欲しくない、夕食が美味しく食べるが、体がしんどい、疲れやすい、体力がない、頭が痛む、肩がこる、胃が痞え重苦しい、吐き気がある、胃が痛む、めまいがする、手足が冷える、など多主訴な病態である。内科や小児科を受診しても異常がなく西洋医学的には不定愁訴症候群、自律神経失調症、気分障害、睡眠相後退症候群と診断される。演者が正しくこの病態で苓桂朮甘湯の効果を実感した。そこで遅刻や欠席が多い学生や社会人、コロナ禍で睡眠・覚醒リズムが乱れている人々の社会適応を向上させる目的で診療を行っている。

対象と方法:久留米大学医療センター先進漢方治療センターにおいて2018年8月に「フクロウ外来」を開設した。西洋医学的および漢方医学的診断、STAI(不安尺度)、CES-D(抑うつ尺度)、TEG、QOLを用い、心身両面から病態を把握し、精神療法、睡眠衛生指導、ストレッチを指導し、漢方治療を行いながら鍼灸もすすめている。

結果:小学生から70歳代までの患者が受診し、ほとんどの中学生、高校生、大学生は朝起きが苦手で倦怠感を伴っており、周囲に者と比べて午前中の心身の活動が低く、周囲からなまけ者のレッテルを貼られ自信を喪失していた。フクロウ型には苓桂朮甘湯を中心に、補中益気湯、五苓散、半夏厚朴湯、桂枝茯苓丸、当帰芍薬散、葛根加朮附湯など多くの漢方薬を併用した。子ども達の多くが自分にあった目標を見いだし自己実現のため前向きに生活できるようになっている。

結論:生活習慣が夜型で多愁訴を生じ社会生活に支障をきたしているフクロウ型は、医療の本質である心身一如をもとに治療する必要がある病態である。
略歴
1987年久留米大学医学部卒業・神経精神医学講座入局、1996年医学博士、2000年久留米大学医学部講師、緩和ケアセンター専任、精神神経科局長、病棟医長を経て2009年先進漢方医学講座(寄附講座)准教授、2013年同講座教授、2015年久留米大学医療センター先進漢方治療センター教授、副院長。<専門医・指導医>日本精神神経学会、日本東洋医学会、日本総合病院精神医学会、日本臨床精神神経薬理学会 <学会代議員・評議員>日本東洋医学会、日本サイコオンコロジー学会、日本総合病院精神医学会、日本精神科救急学会、日本生物学的精神医学会
教育講演「頭痛に対する鍼治療と疼痛関連領域の脳機能の変化」
筑波技術大学 保健科学部
便秘に関する発表

第6回鍼灸師のための呼吸発声ストレッチ勉強会3部 :便秘対策の治療穴(金井友佑)
6月7日(日)
第7回鍼灸師のための呼吸発声ストレッチ勉強会3部 : 便秘の鍼灸治療の検討②(金井友佑)
7月19日(日)
第8回鍼灸師のための呼吸発声ストレッチ勉強会「腹部診察によるアセスメント・排便日誌」
8月23日(日)
便秘に対するツボはどれがよいか?
木更津杏林堂 金井友佑
『抄録』

目的:パーキンソン病患者に対する便秘の治療穴について検討する。

対象と方法: インターネットや鍼灸の書籍を用いて便秘についての記述内容を調査し治療穴を検討する。

結果:文献に載る便秘治療穴を調査した結果、多種の経穴があることがわかった。一番網羅的に記載のある池田政一編著『経穴主治症総覧』から便秘に対する治療穴を抽出したところ80穴あった。生理学的には、手足からの刺激は主に上脊髄反射が、体幹からの刺激は主に脊髄反射が起こるというように異なるメカニズムで体性自律神経反射が起こることが知られている。抽出された治療穴を手足と体幹部に分けると、手足は30穴、体幹部は50穴であった。さらに体幹部の中でも腹部27穴、側面3穴、背部20穴であった。また、背部の中では腰椎5番の高さより下部で15穴と一番多く、特に仙骨部の近辺が多いことがわかった。これは、便秘症状を有する活動レベルが著しく低い高齢患者に対する温罨法に関する研究の温熱領域とも一致した。

結論:治療穴の選択は、手足と腹部、腰部の3領域に分け、治療穴を3領域内でそれぞれ選択すると生理学的に多様なメカニズムによるアプローチができるのではないかと思われた。特に仙骨部は便秘の施術部位として妥当性が高いと考えられた。
第9回定例会 振り返りその②
〜なぜ、刺さない鍼なのか?
第9回定例会をまだまだ振り返って参ります。


第一部では、刺さない鍼を主に用いて治療されておられる、東京都
豊島区要町の鍼灸和友堂の一ノ瀬宏先生にご登壇頂き銀のてい鍼に
よる「刺さない鍼の治療」の実技を見せて頂きました。


着衣の上から、ほとんど触れるか触れないかのとても精妙な手技を
見せて頂いた後に、施術を受けた方の感想をお聞きしました。


手技を受けている間、押圧されているような感触はほとんどなかっ
たにも関わらず、一ノ瀬先生の手はとても温かく、氣の流れのよう
なものを終始感じておられた、というのです。


一ノ瀬先生はなぜ、刺さない鍼治療をされるに至ったのか?


そのような「氣流れる手」をどのようにお作りになったのか?


例会後にお電話にて追加取材をさせて頂きました。


●顔面神経麻痺を治してしまう電気鍼に衝撃をうけて鍼灸師の道へ


一ノ瀬先生は長崎県のご出身。

理科の先生になるべく東京の大学に進学したものの、


ご卒業当時1975年は大学紛争真っ盛り。長崎県の教職員採用試
験の倍率はなんと600倍。


あえなく不採用となった時、銭湯で知り合った先輩のご紹介で街の
小さな診療所でのアルバイトを始めました。


西洋医学の医師が、顔面神経麻痺の患者さんの顔面に鍼をし、通電
することで患者さんの痛みがみるみる軽くなっていくのを日常的に
見て、鍼の世界へと誘われます。大学卒業の翌年、一ノ瀬先生は鍼
灸専門学校に入学されたそうです。


今のかなりソフトな刺激量の治療とは真逆の、深く刺して電気もバ
ンバン流す治療をされていた先生。


●癌末期の患者様が鍼通電で悪化


そんなある日。

癌末期の患者さんの治療に携わることになった一ノ瀬先生に転機が
訪れます。


明日の命をも知れぬほど具合の悪い癌の末期である患者様にいつも
の通電治療を施した翌日。患者様をお訪ねすると、前日から更に更
に悪化してしまっていたのです。弱っている患者様への明らかなド
ーゼオーバーでした。


この経験が深刺しからの通電治療という今まで行ってきたご自分の
治療法を反省し、見直すきっかけになったのでした。


●布団の上からかざした手が感知したもの


また、師匠にあたる恩師がいくつもの癌を併発し、苦しみの床にあ
る時、こんなこともありました。


寒がって分厚い布団をかぶって寝ておられる恩師の、その布団の上
30センチも上から一ノ瀬先生がふと手をかざして、足先から膝へ
と手をゆっくり動かしていると、ふと陰陵泉のところで手が自然に
止まってしまった(その頃すでに、一ノ瀬先生の手はかなり繊細な
ものを感じ取れる感受性を見につけておられたのでしょうね)。


すると、恩師は一ノ瀬さんにこう告げられたのだそうです。


「一ノ瀬君。今の手技はとても気持ちが良かった…」


と。


布団の上から30センチ離れた距離からかざした手に、患者さんが
「気持ち良い」と感じさせる何かがある。


30センチ離れた距離から患者さんの下肢に澱む邪?を感知するこ
とができる手の不思議。


二つの出来事が転機となり、一ノ瀬先生は自作の通電機を捨ててし
まったそうです。


深刺し、通電。


人を治すのにそんなに強い刺激はいらないのではないか?


その時、一ノ瀬先生は37歳になられていたそうです。


まだまだお話を伺っていたかったですがご多忙の一ノ瀬先生をこれ
以上お引き留めするわけにもいかず、、、


追加取材はここまでとなりました。


一ノ瀬先生の刺さない鍼治療にご興味おありの先生方はぜひ、豊島
区要町の鍼灸和友堂で治療を受けてみてください!


#予防鍼灸研究会

#sgpam

第9回定例会    振り返り①
〜やはり舌診は大事です
予防鍼灸研究会の第9回定例会が無事に終了しました。ご参加頂いた
みなさま、ありがとうございました。


今回、腹診・舌診のすばらしい著書の作者であらせられる平地治美
先生に講演をお願いいたしました。


どちらかと言えば腹診のお話を聴きたくてご参加いただいた先生方
が多かったのではないでしょうか?


ですが、一視聴者として感想を述べますならば、今回の講演ではむ
しろ、舌診のお話にひきこまれました。


事前アンケートでは、腹診に比べて舌診はあまりやりません、とお
答え頂いた先生方が多数おられました。


ですが平地先生のお話を聞いた後、患者さんの病態を知るうえで、
舌診を抜かしていることがどんなにもったいないことであるか、思
い知らされる気がしました。


コロナにかかった人はどんな舌をしているか? 初期、中期、終盤でどのように変化するのか? 


そんなお話も大変興味深かったです。


ご本人もおっしゃっていましたが、舌診と腹診を両方で30分では
とても時間が足りない、と。


ぜひ、また機会を設けて腹診についてももっともっとお話をうかが
いたいものだと思いました。


ご参加のみなさま、本当にありがとうございました。


振り返りその②では、第一部にご登場頂き実技供覧に預かりました
一ノ瀬宏先生について、ご紹介して参ります。


お楽しみに!


#第9回定例会振り返りその①

実技供覧 鍼灸臨床の序章
鍼灸和友堂 一ノ瀬宏

皮膚表面の虚実をとらえて、刺さない鍼等を用いて補瀉を施す、その細やかな微刺激を患者さんの直截的な感覚受動性ゆだねて、心身の不平衡を整え、そして心のざわめきを平らかに、次の未知なる機転につなげられるようなつもりで鍼灸臨床供覧したいと思います。
症例報告  パーキンソン病にムクナ豆を用いた一症例
木更津杏林堂   金井正博
「抄録」

目的: パーキンソン病(PD)患者さんで薬の副作用を気になさっている方が多くみられ、食事で改善できないかと問われることも多い。ムクナ豆はL-dopaが多く含まれている事で知られている。PD患者さんがムクナ豆を自身で栽培し、調理し食用しているケースを経験したため紹介する。
対象と方法:76歳男性、農業、ヤール3度。2011年発症。2015年当院受診(当時ヤール2度)。左手の振戦、肩の痛みを認め、左足の動きが悪くアンバランスで、(最近は右足も動きが悪い)腰痛あり。便秘症、時々嫌な夢を見ることあり、起立性低血圧あり。ADLに支障(ボタン掛け、茶碗を洗う動作、パイプのバルブの栓を閉める動作)をきたす。2016年よりL-dopa製剤と共にムクナ豆1日10gを煮豆にして食用開始し、動きが良くなる。以後、ムクナ豆栽培と農業を継続している。現在15g食し、薬の量も多少増えているが、鍼灸治療とムクナ豆を併用し、日常生活に支障をきたすことはなく、趣味のカラオケや自彊術を続けてる。考察:罹患11年目の現在、加齢と療養期間の長さに伴い L-dopa製剤の量は多少増え、歩行テストやQOL評価は少しずつ下方したものの鍼灸治療と1日15gのムクナ豆摂取を併用することで、農作業や趣味のカラオケや自彊術を継続できていることから、日常生活に大きく支障をきたさない一定水準以上のQOL・ADLが維持できている。
(590字)
コロナ後遺症を想定したソフト指圧(実技供覧)
金子指圧治療院 金子武良
「抄録」

コロナ後遺症に悩む方が急増している。西洋医学的に対応するも治療に難航する例も多い。当院では、数名のコロナ後遺症患者に対して、ソフト指圧で施術しているが、今回は、経験した1例を紹介すると共に、実技をモデル例で供覧する。
症例:コロナ後遺症20代女性(学生)。主訴:右肩甲骨下縁の引き攣れ。経過:コロナ感染前の2021年11月3日に右足首の捻挫で受診。その後、11月28日に、コロナ感染症が判明、宿泊療養する。重症化せず8日後帰宅。しかし、嗅覚消失、易疲労、右肩甲骨下縁の違和感などの後遺症が残った。2022年1月28日当院受診。東洋医学的現症と施術: 1診目、感染後(86日目)、全身の冷え。特に冷えの強い右肩甲骨内縁に黒ずみ。緊張が強かったためソフト指圧で施術。全身の冷えは改善し、黒ずみ消失。2診目(120日目)、右肩甲骨周囲の痛み改善、嗅覚も戻る。3診目(183日目)、右肩甲骨周囲痛消失。結果:手掌を使って響きと波動を与え、右肩甲骨周囲痛は改善し、呼吸は深くなり、冷えが軽快した。結論:ソフト指圧はコロナ後遺症の治療に対して有効であると考えられる。
【実技供覧*】今回はモデルにて、術前後の変化を示す。顔の浮腫が取れて、脊柱の湾曲が改善し、胸郭の動きが良くなった。本人は「身体が温かくなり、これまで気づかなかった自分の身体を感ずることができました。これはきっと免疫力にも良い影響があると思いました」。
(*会員エリアのYou Tube参照)
(文字数600字)
「未病・養生考」
木更津杏林堂 金井友佑
『抄録』

目的:未病と養生についての考察。

対象と方法:インターネットによる文献調査。

結果:養生思想が日本に根付いたのは貝原益軒(1630-1714年)が1713年に書いた江戸時代のベストセラー養生指南書である「養生訓」からだと考えられる。「病気になる内欲(過剰の食欲、色欲等)を抑え、外邪(寒さ、暑さ等)を防ぐように心がけること。」が重要だとした。古典における未病は、『黄帝内経・素問・四氣調神大論篇』の「聖人不治已病、治未病。」や、『千金要方・巻二十七』の「上医医未病」のように、発病前の予防的な治療の意味。もう1つは『難経七十七難』に記載の『所謂治未病者、見肝之病則知肝当伝之与脾。故先実其脾気、無令得受肝之邪。故日治未病焉。』のように、早期の治療を行う事で病を予防するという意味で使われている。現代における未病は1994年第1回東京未病研究会(現・日本未病学会)開催が未病への組織的な取り組みの始まりと思われ、その後、1997年「厚生白書」に未病の定義が記載。2011年、神奈川県黒岩知事就任あいさつにて「いのちプロジェクト」の立ち上げを示唆し、それ以降未病を前面に押し出した健康政策を実施している。2020年、「未病」の定義が盛り込まれた国の第2期「健康・医療戦略」が閣議決定。国の戦略にも「未病」が位置づけられる。

結論:東洋医学の発想を用いた鍼灸は、治療でありながら未病治や養生を含有するものである。
症例報告
ムクナ豆が奏功したパーキンソン病の2症例
  
岩﨑真樹12、湯浅龍彦2
1)木更津杏林堂、2)鎌ヶ谷総合病院脳神経内科

背景:PDは、振戦、固縮、動作緩慢などの運動症状に、多彩な非運動症状を伴う。その背景に黒質ドーパミンニューロンの減少があり、こうした中で、効果不十分例や、ウェアリングオフ/ジスキネジアなどの運動合併症をきたす例が増えている。PDの治療目標は、線条体のドーパミンの安定的供給continuous dopaminergic stimulation (CDS)にある。
目的:今回ムクナ豆を食することによって、症状の安定的改善の得られた2症例を紹介する。
結果:症例1は、50代女性、PD罹患歴11年。薬が増えるとジスキネジアが出るようになった。これに対して、ムクナ豆食にて症状が安定した。本例ではムクナ豆併用によって、PDQ39が有意に改善した。症例2は、PD罹患歴6年の60代の女性。振戦と固縮でピアノが弾きにくくなった。ムクナ豆食を勧め、症状が安定した。こうして、2例とも、ムクナ豆を抗パ剤と併用して生活設計し、抗パ剤は補助的に使っている。その結果、ウェアリングオフやジスキネジアが減少し、良好なADLが得られている。
考察:PDではさまざまな合併症によって治療が障害され、QOLが低下する。PD治療の目標は、CDSの確立にあるが、これら2症例では、ムクナ豆食が有効に作用したと考えられた。その背景には、ムクナ豆に含まれるドーパミンとその他の様々な活性物質の存在があると推測した。
結論:L-Dopaの治療効果が減弱し、ADLの低下したPD患者2症例にムクナ豆食を試み、いずれもADLが改善した。ムクナ豆食による副作用は見られず、PDの食事療法の一環にムクナ豆が貢献する可能性が示唆された。
(542文字)
症例報告
パーキンソン病を背景に精神症状をきたした1
  
岩﨑真樹1)2)、湯浅龍彦2)
1)木更津杏林堂、2)鎌ヶ谷総合病院
背景と目的:呼気鍛錬リモートクラスに、東南アジア在住のパーキンソン病(PD)の方が参加されている。その方が、不安とパニック障害を呈した。コロナパンデミックの中で、如何に対応したか経過を報告する。
症例:PD罹患歴3年60代女性。オフ時間が長くなり、夜中は気持ちが悪くて必ず目が覚める。
対応と経過:リモート面談(1)スマホで撮影した動画を幾つか見せて頂き、リモート面談。2ヶ月後、日本に一時帰国。当初は快適。しかし寒気が募ると便秘、不眠、ジストニアが出現。やがて薬が切れると苦しくなるなどのパニック障害が始まる。リモート面談(2)パニック発作に対して、呼気を意識した腹式呼吸を指導した。東洋医学的には「上逆」、肝虚寒証=肝が虚して冷えの状態と判断して、酸味のある梅干しを食べてもらって軽快した。
考察:パニック障害は、西洋医学的には、突然生じる不安、恐怖発作で、制御困難な精神状態、様々な身体症状を伴う症候である。肝虚寒証との判断にて、肝の働きを促進して精神の緊張を和らげることに傾注した。
まとめ: 呼気鍛錬をリモートで対応していた海外在住のPD患者が、一時帰国時に、パニック障害を来たした。肝虚寒証と考え対応し、加えて専門医の助言を協力的に得られたことが症状軽快に貢献した。
(文字数534字)
症例報告 ジ ス ト ニ ア を 疑 う 2 症 例 へ の 対 応
喜島鍼灸院  喜島顕
「抄録」
症例 1:男性、58歳、ピアノ教師(元ピアニスト)

主訴: 両肩甲骨間と両背部の凝りと痛み。左拇指の動きの違和感。

病歴:40歳の頃K病院を受診、パーキンソン病に使われる薬を処方されたが悪化、ブロック注射も効果なし。 その後、Y病院、A医科大学系鍼灸院、マッサージ、心療内科、電磁治療などを受診するが改善傾向は認められない。
当院にて鍼灸治療を少なくしてマッサージ治療を多く行う。通院頻度は約半年間は週2回ペース。その後約1年半は毎週1回。約2年6か月の通院後、10年余りは来院せず。

現状:ピアノ教師としては「完全復帰」。しかし、最後の最後でまた後退することを繰り返している。

症例 2:女性、32歳、ピアノ教師(ピアニスト)

主訴: 頸が右しか向けない、頸部筋肉の強張り、身体の捻れが出現。

病歴: B大学付属病院を受診するも経過観察のみで具体的な治療は無し。当院にて「肝虚寒証」と判断して施術。灸とマッサージ、大腸経ラインをメインに施術、約2年余り当院に通院。その後、A医療大学の鍼灸治療を開始。

現状:自宅でも出来るストレッチを毎日継続し改善傾向。演奏にも支障がほぼ無くなった。

結論:二人のピアニストに現れた手のジストニアと痙性斜頸に、マッサージ主体の施療と、鍼灸主体の施療を実施し、鍼灸主体で寛解が得られた。
両症例の効果の違いは、ジストニアの病態の差なのか、或いは、マッサージと鍼灸効果の差なのかを検証する価値がある。(本文600字)
鍼灸とボツリヌスで寛解した痙性斜頸の1例
湯浅龍彦1、大宮貴明、山岸 太、岩﨑真樹、
鎌ケ谷総合病院脳神経内科

目的 痙性斜頸の治療は難航することが多い。鍼灸とボツリヌ注射の併用で緩解を得ている1例を報告する。

症例;発症時53歳女性、主訴:頸の右念転。

診断:念転性ジストニア(痙性斜頸) 心理的背景:家庭内人間関係。

治療経過:20X1年1月、鍼灸積聚治療開始(1~2回/月)。同年3月、小康を得る。5月、自転車に乗れるようになった。20x4年2月、尻もちをつき尾底骨打撲を契機に身体の捻じれ再燃。同年10月、ボツリヌス治療開始。3~4カ月に1回実施し、積聚治療も継続中。

考察:ジストニアとは、不随意の断続的、或いは持続性の筋収縮症候群であり、
四肢や体軸のねじれを伴う異常姿位をいう。全身型と局所性に分け、原因は遺伝性背景を有すものから、心理的色彩の強いものまで多様である。しばしば治療に難航し、西洋医学的には、ボツリヌス注射、抗コリン薬やL-ドーパ、定位脳手術などが試みられる。鍼灸治療で症状の改善を見るという報告もあり、合谷(LI4);外関(TE5);後渓(SI3);外関(TE5);崑崙(BL60);⑤衝陽(ST42);⑥丘墟(GB40);⑦百会(GV20);⑧太白(SP3)などに取穴されている。今回の事例は積聚治療で施療されている。諸外国では鍼灸が脳機能を介して効果を顕すとの論点が注目されていて、脳機能マッピングなどでそれを証明する方向で学問が進んでいる。今後鍼灸学会と神経学会の両方からのアプローチに期待する。
616文字)
認知症について~当院での取り組み~  
小川病院糖尿病/物忘れセンター長国立病院機構徳島病院名誉院長 脳神経内科 足立克仁 

「抄録」

目的:物忘れ専門外来では、必要に応じ抗認知症薬を投与してきた。しかし、進行した認知症には投薬しても十分な効果が得られないため、早期の認知症に焦点をあて、地域活動を開始した。また、本県は糖尿病による死亡率が全国一高いため、さらに糖尿病と認知症は密接な関係があるため、糖尿病対策も合わせ活動を行った。すなわち「糖尿病/物忘れ教室」として両疾患を同時に取り扱った。

対象と方法:教室は、2016年9月から2019年9月の3年間で延べ参加人数は最大で年間338人、年毎に徐々に増加した。1回当たりの平均参加人数は23.4名で、男女比(1対3.6)は女性が多く、65歳以上の高齢者が大半であり、居住地は殆どが鳴門市内であった。これら参加者に下記の評価を行った。

結果:2019年9月に行った物忘れ相談プログラム(日本光電製)による評価値(MSP値)では、30名中5名に低値がみられた。3年間の経過を追えた18名中、高度に進行した者はいなかった。他方、2018年11月に行った血糖測定では、糖尿病として血糖降下剤服用の5名を除いた24名中13名はこの教室で初めて発見された食後高血糖であり、この内2名はMSP低値と食後高血糖が重なっていた。

結論:糖尿病と認知症を一つの教室で同時に取り扱うことにより、参加者の意識の高まりが得られ、早期対策の面からも大きな意義があると考えた。
ジストニアの病態と治療
徳島大学病院 脳神経内科 藤田浩司
ジストニアは運動障害のひとつで、骨格筋の持続のやや長い収縮、もしくは間欠的な筋収縮に特徴づけられる症候で、異常な、しばしば反復性の要素を伴う運動である。すなわちジストニアとは骨格筋の収縮の異常である。では、なぜジストニアが起こるのかという疑問が生じる。実は、脳に由来するのではないかと考えられている。さて、Network neuroscienceという概念では、脳をネットワークとして捉える。そこで、ジストニアの脳において疾患を特徴づけるネットワークはあるか、という問いが出てくる。一次性ジストニアでは脳病理で基本的に粗大病変を認めず、一般的な画像検査で異常を認めない。しかし、糖代謝を反映するFDG PETによって、孤発性ジストニアや遺伝性ジストニアDYT1では疾患に関連する糖代謝ネットワークが発現していることが示されている。また、安静時機能的MRIによって、ジストニアに関連する機能的ネットワークやコネクトームを見いだせる。それでは、ジストニアにおける機能的なネットワークあるいはその破綻は何を背景として生じるのだろうか。脳は構造と機能として捉えることができ、脳機能は神経線維構造を必要とすると推定される。拡散テンソル画像によって、ジストニアを特徴づける微細構造の連絡障害やコネクトームを見いだすことができる。
Disease-modifying therapy (DMT)の概念と実際
徳島大学病院脳神経内科 藤田浩司

Disease-modifying therapy(DMT)は疾患修飾療法、つまり「疾患」を「修飾」する治療である。わかりやすく言えば、病気の経過を変えて健常に近づける治療である。再発予防や進行抑制が目的で、通常は慢性疾患に対する治療である。薬のことはdisease-modifying drug (DMD, 疾患修飾薬)と呼ぶ。DMTは通常、疾患の病態機序を踏まえて、それをターゲットにして開発される。したがって、病態機序の理解が必要となる。DMTが用いられる疾患の例として多発性硬化症(multiple sclerosis: MS)がある。MSでは神経線維を絶縁するミエリン(髄鞘)が壊される。神経系の情報は電気信号でやりとりされるが、ミエリンが壊されると(脱髄)、その部分の信号が上手く伝わらなくなり様々な神経症状が出る。ミエリンを壊しているのは自分の免疫である。このように免疫系に異常が起こり自分の体の組織を外敵と見なし攻撃してしまう病気を「自己免疫疾患」という。MSでは遺伝因子と環境因子の相互作用が関与する。環境因子(ビタミンD、喫煙など)はコントロールしうるもので、予防につながる。免疫細胞としては末梢のリンパ球 (T細胞、B細胞)、骨髄細胞、中枢神経系のグリア細胞 (ミクログリア、アストロサイト)などが関与する。【DMT例1】フィンゴリモドは再発寛解型MSに対する経口の再発予防薬である。 フィンゴリモドはリンパ球がリンパ節・脾臓などのリンパ組織から出て行くのを抑える。体内を循環するリンパ球の数、中枢神経系に入っていくリンパ球の数も減り、MS再発が抑えられる。【DMT例2】ナタリズマブはリンパ球(T細胞)の表面にあるインテグリンをブロックすることで、T細胞が中枢神経系に入るのを阻止する。まとめると、DMTは再発予防や進行抑制が目的である。神経疾患のうち多発性硬化症(MS)を例に説明したが、アルツハイマー病などでも開発が進められている。今後、発症前に開始して発症予防することも視野に入る。
2021年特別例会
加藤、片桐、湯浅龍彦、坪井義夫、渡辺宏久 
パーキンソン病の患者さんがピンポンをすると体調が良くなると話しておられ、他にも数例の事例があった。脳とピンポンの関係はどうなっているのか考えてみる必要があると考え専門に研究している先生方に声をかけ座談会を開催しました。動画も公開しますので詳しくはこちらもご覧ください。
2021/09/26

<抄録>「パーキンソン病とピンポン」
松原奈絵、河野美砂子、加藤百合枝、片桐朝子、
渡辺宏久、坪井義夫、湯浅龍彦
はじめに
 パーキンソン病(PD)は動作緩慢、固縮、振戦を3 徴とする疾患で、一般に基底核疾患とされています。卓球は、PD 患者会でも人気の種目でしたが、ニューヨーク在住のミュージシャンNenad Bach 氏が、パーキンソン病を発症し、一時は音楽活動断念にまで追いやられましたが、卓球を始めましたら、再び音楽が可能になったのです。
 その体験をもとに、「ピンポン・パーキンソン」という活動が開始されました。
 今回、患者さんの体験談をお聞きし、諸先生方から脳のメカニズムのお話を伺い、この不思議を解き明かすKey を探ります(N.M)。

「卓球と私」
 卓球を始めるきっかけは、友人の加藤さんが世界女王になったことで、夫を相手に毎日ラリーを続けています。卓球を始めて気付いた変化は、車の車庫入れのバックの操作がスムーズになったこと、クロスステッチの刺繍が手際よくなったこと。不思議な事にオフでも卓球台の前に立つと動けるので何とか打ち続けると25 分過ぎた頃にカチッとスイッチが入る感覚で自前のドーパミンが出るのです(M.K)。

「世界PD 患者卓球選手権大会に参加して(1)」
右足に振戦があるため、フォアハンドが打ちづらい、その克服方法の一つとして、卓球の試合に出場しました。試合はすごく緊張もしましたが、集中もします。きちんと練習されていれば克服できるかもしれません。方法は一つではないはずです、卓球には大きな可能性があります。お互い頑張りましょう(Y.K)。

「世界PD 患者卓球選手権大会に参加して(2)」
車いすが白球を追いかけ、ラケットが宙を舞う。お父さんが立ち上がっている。「お父さん!」やっている本人は平気な顔でニヤリ。目を離さないで下さい。手を離さないで下さい。応援も声を張り上げやりましょう。楽しさに向かって好きな事、出来る事、それがピンポンなんだと思うようになりました。苦しみや悩み、その裏側にあるパーキンソン病のことを語り合いたい(A.K)。

「パーキンソン病と脳のネットワーク」
 ヒトの脳は加齢に伴って萎縮しますが、加齢に伴ってむしろ良くなる認知機能も数多くあることが知られています。脳のネットワークは大きく分けて、1) デフォルトモード
ネットワーク:認知機能に関連する内面的志向のタスクに集中しているときに活発になるネットワーク、2) 多種感覚統合ネットワーク:様々なネットワーク同士をつなぐネットワーク、3) 一次情報処理関連ネットワーク:運動、感覚、視覚、聴覚になるネットワークの3 つのグループがあることが分かっています。
 卓球は、戦略を練ることで2)のネットワークが、またボールを見て、音を聞いて、体を動かすことで3)のネットワークが鍛えられ、更にこれらを通じて2)と3)の関係が改善する可能性があると期待しています(H.W)。

「パーキンソン病と卓球」
 パーキンソン病の方々にとって、運動は薬と同じくらい健康や機能の維持に必要です。卓球は楽しく、誰にでもできるスポーツであり、多くの種類の運動が含まれます。ピンポン玉が飛んでくる視覚的刺激、卓球台にぶつかる音による聴覚刺激、球をうまく返した時の達成感などが普段使わない脳の機能を働かせます。
 この卓球運動では会話、着替え、立ち上がりなどの日常動作が改善しました。卓球を定期的に取り入れることは、パーキンソン病症状を緩和し、可動性、柔軟性、バランスの改善に役立ちます(Y.T)。

「前頭葉・辺縁系と小脳と基底核の関連」
 あらゆる運動は、大脳辺縁系や視床下部のモチベーションの高まりから始まります。脳には、膨大な感覚系と左右両翼に配置された小脳と大脳基底核という2 大制御系の存在が浮かび上がってきます。
 卓球の運動は、企画・始動・実行を孕んだサーブと素早く相手の球に反応するレシーブ・ラリー、そして相手の隙をつくスマッシュに区分出来ます。サーブは、球筋、回転、スピードなどをどう配置するかの意図を秘めた運動です。大脳基底核、大脳辺縁系、前頭葉の運動野の連合結果が反映されます。他方、レシーブやラリーは、早い反応であり、小脳を介する早い予測運動が主体です。そして、スマッシュは、早い反応であると同時に無意識のうちに相手の虚を突くべしとの意図を孕んだ運動であり、小脳基底核と前頭葉の咄嗟のコラボレーションから成り立つと想像されます(T.Y)
SGPAM 特別例会「パーキンソン病とピンポン」
湯浅龍彦講演「パーキンソン病と腹の虫」
パーキンソン病の便秘の講演ですが、最後に卓球の話も出てきます。
ここから「パーキンソン病とピンポン」は、始まりました。




2021年特別例会
小山珠美先生 
2021/09/18
口から食べる幸せを守る講演抄録

NPO法人口から食べる幸せを守る会 小山珠美
 本邦では、超高齢社会が加速するなか、平均寿命は世界一です。その一方で、過度な誤嚥性肺炎の懸念や生命における価値観の多様化などで、食べたい願いが叶わない要介護高齢者も増えています。今回の講演では、口から食べる幸せを守るための課題として、個人的健康問題に加えて、人的・社会的な阻害因子が孕んでいることをお伝えしました。では、どうすればよいか?それは、他力本願ではなく、自分の家族は自分が守るという強い意志を持ち、食べることへの知識や食事介助技術を培っていくことです。思いだけでは口から食べる幸せを守れません。自然災害ともいわれているCOVID-19 から身を守ることと同じ構図です。人間は誰もが程度の差こそあれ不完全です。不足や困難もあれば、強みや良好な側面を有している生活者として存在しています。皆さんで「人生の最期まで口から食べ続けられる社会の実現」への道筋を創り出してほしいと願っています。
過去の研究会
岩﨑真樹 
「鍼灸師のための呼吸・発声ストレッチ勉強会」を経て予
防鍼灸研究会までの演題を提示しました。内容について順
次公開可能なものは公開していきます。
2021/05/20

HP ⑤今までの活動時系列
第1 回2019 年9 月16 日パーキンソン病に役立つ呼吸・発声ストレッチ基礎編
・腹式呼吸・ハミング・基本の姿勢・母音・あえいおうマッサージ

第2 回2019 年11 月4 日パーキンソン病の姿勢をよくする呼吸・発声ストレッチ①
・腹式呼吸のやり方の解説と実践
・姿勢をよくする腹式呼吸と発声・ストレッチの実践

第3 回2020 年1 月13 日パーキンソン病の姿勢をよくする呼吸・発声ストレッチ②
・二人一組で呼吸の見方、補助の仕方
・「姿勢をよくする3つのあえいおう」実践
第4 回2020 年4 月29 日リモートによる呼吸・発声ストレッチ基本編
・腹式呼吸、基本の姿勢、ハミング、母音発声
・臨床で鍼灸師として困っていることを話し合い、共有する

第5 回2020 年5 月6 日リモートによる呼吸・発声ストレッチ基本編②
・湯浅龍彦講演「COVID-19 時代の診療どう対応すべきか」
鎌ヶ谷総合病院千葉神経難病医療センターセンター長
・腹式呼吸、母音発声、呼気鍛錬

第6 回2020 年6 月7 日パーキンソン病の便秘①
・パーキンソン病患者の非運動症状と便秘
・湯浅龍彦講義「パーキンソン病:便秘大敵」
・便秘対策の治療穴(金井友佑)と呼吸・発声ストレッチ(岩﨑)
・総合討論:「便秘」自分はこうしている

第7 回2020 年7 月19 日パーキンソン病の便秘②
・便秘を「見える化」するには、具体的な評価が必要である。
・湯浅龍彦質疑応答(前回アンケートを基に)
・便秘の鍼灸治療の検討②(金井友佑)
・総合討論「便秘ー自分はこうしている」お通じ手帳、便秘のQOL スコア活用

第8 回2020 年8 月23 日パーキンソン病の便秘③
・湯浅龍彦講義「臨床研究の基本」
・金井友佑「便秘の評価方法の検討」
・お通じ手帳の経過報告~総合討論

第9 回2020 年9 月27 日パーキンソン病の便秘④
・志茂田典子講演「鍼灸における客観的評価の重要性」
鍼灸師・公認心理士
・元吉正幸「便秘の鍼灸症例文献よりー昭和ー」
・総合討論1 症例報告に向けて
・便秘の経穴と評価方法

第10 回2020 年10 月25 日(第1 回予防鍼灸研究会)症例報告①
・症例報告(4題)&全体討論
・記念講演湯浅龍彦「脳と心」
・元吉正幸「臨床鍼灸師の1 例報告例ーエゴグラムの活用ー」
・予防鍼灸研究会発会式

第11 回2020 年11 月29 日(第2 回予防鍼灸研究会) 予防鍼灸研究会SGPAM(スグパム)
に望むこと
・木村高仁「難病ケアのみやこグループにおける新型コロナウィルス感染
症対策」
難病ケアみやこグループ取締役
・佐賀勝人「施設での鍼灸の現状」
・川上純子講演「ALS 相談室とともに」
日本ALS 協会相談役

第3 回予防鍼灸研究会2021 年1 月31 日ジストニア:病態と治療
・藤田浩司特別講演「ジストニアの病態と治療」
徳島大学病院脳神経内科特任講師
・喜島顕「ジストニアを疑う2 症例への対応」
・湯浅龍彦他「鍼灸とボツリヌスで寛解した痙性斜頸の1 例」
・岩崎真樹「ジストニアと鍼灸治療: 文献的考察」
・総合討論「ジストニアへの対応」

第4 回予防鍼灸研究会2021 年3 月28 日心理学について
・森朋子特別講演「心理学について」
臨床心理士・公認心理師・精神保健福祉士
・指定発言湯浅龍彦「共感とミラー( 鏡) ニューロン」
・喜島顕「目黒区鍼灸師会での発表」
・岩﨑真樹「呼気鍛錬によるリモートクラスの実践」
・ブレインストーミング「ネットワークってなんだろう」
緊急対談
湯浅龍彦 加藤百合枝 
2021/03/26

全国パーキンソン病友の会 千葉県支部だより「菜の花」No.109(2020 年 4 月発刊)
緊急対談

新型コロナウイルスとどう向き合う
パーキンソン病患者さんへのメッセージ

湯浅龍彦 加藤百合枝

はじめに 加藤:新型コロナウイルス感染が世界的な規模で拡散しています。こうした状況に私たちパーキンソン病友の会の会員はどう対処すべきか、鎌ケ谷総合病院湯浅先生からお話を伺うことと致しました。
加藤:先生、まず新型コロナウイルス感染が何かということからお教え下さい。
湯浅:はいわかりました。このウイルスは、元来は風邪ウイルスの一種なので、人間にとってそれ程脅威ではなかったはずです。それが、何かの理由で変異を遂げ、強病原性のウイルスになったのです。同様の事態は、2002年中国広東省から始まった重症急性呼吸症候群(SARS)、2012年の中東呼吸症候群(MERS)などが変異コロナウイルスです。他方、インフルエンザウイルスが猛威をふるった例もあって、1978年のスペイン風邪、鳥インフルエンザ、アジア風邪や香港風邪などがそれです。
そこで、今回のCOVID-19感染ですが、重症の肺炎を起こすのが特徴でCOVID-19肺炎と呼ばれます。昨年、中国の武漢に端を発したこのCOVID-19ウイルスは、現在急速に世界中に拡散し続け、未だ拡散を止めることが出来ず、パンデミック(世界的大流行)の状況にあります。残念な事に現時点では有効な治療薬がないのです。
加藤:先生何故流行がちっとも収まらないのでしょうか?私たちはどう対処すればよいのでしょうか?
湯浅:流行に関わる因子には2つの側面があると思います。一つはウイルス側の要因、もう1つは人側の問題です。守る側からいいますと、現時点では人類はこのCOVID-19ウイルスに対して極めて無防備です。無力といってもよい状態です。といいますのも、COVID-19ウイルスに対する抗体を殆どの人間が持っていないからです。他方、攻めて来るウイルス側の特徴は人類に不利です。まず、COVID-19ウイルスが強病原性を獲得するに至った経緯がいささか不明です。そして本ウイルスの生物学的特徴が十分わかっていない。その為に、本ウイルスを退治する有効な治療薬が現在はないのです。
こうした状況の間隙をぬって、第3の問題が生じています。人類の経済活動
全国パーキンソン病友の会 千葉県支部だより「菜の花」No.109(2020 年 4 月発刊)

や、それに伴う活発な往来に付け込んで、このウイルスが拡散し続けているという社会的現実です。現在の戦況は人類にとって、思わしくありません。極めて感染力が強く、人から人へ容易に感染する一方、初期は密やかに、風邪症状程度で済む。或いは特に若い人では殆ど無症状に見える状況で感染し、拡散する。COVID-19ウイルスの挙動は真に巧妙です。油断させておいて密かに広がる分けです。
加藤: COVID-19肺炎を早期に発見するにはどうすればよいのでしょうか?
湯浅:皆さんとても心配なさっていると思います。COVID-19肺炎の初期症状は、発熱、だるさ、痰のない乾いた咳、息苦しさなどの風邪症状です。そんな中で、COVID-19感染と素早く気づくにはどうすればよいでしょうか。大事なのは冷静に疑うことです。軽い風邪症状があって、加えて、強い嗅覚障害(味覚障害)がある場合は、疑い濃厚です。但し、ここで問題なのは、通常の風邪であってもしばしば匂い障害が来うるわけであり、ましてや、パーキンソン病の患者さんには、元々匂いが落ちている方があります。ですから、初期から強い嗅覚障害がある場合は要注意でしょう。日頃から簡便に出来る自分なりの匂いテストを行なっておきましょう。マニキュア、コーヒー、カレー、納豆、ニンニクなど手近な材料を用いて、程度を軽度、中等度、高度に分けて(自己判断で結構です)記録しておくとよいでしょう。同時に、平素から検温して平熱を記録しておくことも大切です。
匂いテストと検温の組み合わせは自宅で出来ることです。感染していない今のうちから始めて下さい。早期発見に繋がるのではないかと期待されます。こうして、嗅覚(味覚)症状/微熱=肺のCT検査=PCR検査を繋げて行きますとCOVID-19肺炎の早期診断が出来るものと思います。PCR検査が出来ない場合でも肺のCTで特徴的な影があれば、診断できます。
加藤:先生、COVID-19肺炎のリスクについてお教え下さい。そしてパーキンソン病がリスクになるかどうかも。
湯浅:ここでいうリスクには2つの面があります。一つは、易感染性のリスクです。もう一つは、COVID-19肺炎が重症化するかどうかのリスクです。前者はCOVID-19ウイルスの性状に依存します。現時点では、COVID-19ウイルスの感染力は強く、高リスクな、厄介なウイルスです。大勢の人が感染する可能性があります。他方、重症化するリスクは、ある程度制御できる部分があります。
大切なことは重症化を防ぐことです。そのリスクは、高齢者、そして糖尿病患者、癌患者、慢性肺疾患、免疫性疾患を抱える人達です。免疫力の落ちている人。こういう人々では、軽い風邪か、或いは軽い肺炎と診断された人が、数日
全国パーキンソン病友の会 千葉県支部だより「菜の花」No.109(2020 年 4 月発刊)

を経ずしてあっという間に重症の肺炎となってしまいます。そこで、ご質問のように、パーキンソン病が感染リスクになるのかと言いますと現在そうした証拠はないと思います。但し、パーキンソン病患者さんは高齢の方も多い。また、不眠、食細そり、誤嚥して肺炎を繰り返す、運動も不足勝ちで、体力面での問題を抱える傾向が強いので、重症化リスクになるのではと考えて、日頃から日常の過ごし方をきちんと整えて、体力を温存して過ごして頂きたいと思います。
一般的に言われている手洗いの励行、人込みを避ける、マスクの着用などの心がけも重要です。都知事の弁にもあった様に3密(密着、密集、密閉)を避けることとも感染を広げない、罹患しない為にも大切なポイントと思います。
加藤:ところで、新型コロナウイルス感染では、なぜ肺炎になり易いのでしょうか?そして、対処法があるならお教え下さい。 湯浅:COVID-19ウイルスに限らず、一般にコロナウイルスは、鼻粘膜や気道粘膜、肺に存在する「ACE2受容体」という足掛かりを通して感染します。ですからこうした呼吸器関連の症状が多くなる分けでして、肺炎が多くなる理由もそこにあります。
次にCOVID-19肺炎が急速に悪化する理由ですが、まず、肺炎とは何かを理解する必要があると思います。肺炎と一概に申しましても、原因は様々です。例えば、細菌性、ウイルス性、マイコプラズマなどがあります。また、肺炎が起きている現場ですが、通常は、気管支から肺胞(空気の入るブドウの房状の袋)の中の炎症が主体です。ですから黄色い痰が沢山でます。ところが、COVID-19肺炎は、主体が間質性肺炎です。間質とは、肺胞を取り囲む毛細血管があって、肺胞の空気から酸素が取り込まれていますが、それぞれ肺胞間の仕切り部位のことです。ガス交換の現場です。COVID-19肺炎では、その大事な間質が炎症で水浸しとなって、酸素が取り込めなくなるのです。血液の酸素濃度が急速に低下して呼吸苦が現れます。そして一旦始まると急速に悪化しますので(ここは緊急事態です)、酸素投与と人工呼吸器が必要となるのです。
こうした間質性肺炎が急激に悪化する理由はCOVID-19ウイルスに対する生体側の過剰な免疫反応にも一因があるとされます。どういうことかといいますと、コロナウイルスに対して、強く感作されている人では、COVID-19ウイルスの感染を契機として、過剰な免疫反応が生じ、様々なサイトカインなどの障害性の液性因子が放出されて、間質の組織が破壊される(サイトカインストーム)のです。COVID-19肺炎例でステロイド吸入薬が奏功したとの報告もありますが。こうしたサイトカインストームに効果があったのかもしれません。
COVID-19ウイルスに対する抗ウイルス剤の現状は、様々な抗ウイルス剤、抗HIV剤、抗エボラ出血熱剤、抗マラリア剤などが救命の目的として、特例的に少
全国パーキンソン病友の会 千葉県支部だより「菜の花」No.109(2020 年 4 月発刊)

数例で使われている状況です。
加藤:最後になりますが、新型コロナウイルス感染への対応を先生はどのようにお考えですか?
湯浅:私自身、70歳も半ばを超し、現在のCOVID-19武漢ウイルスによる騒乱を見ておりますと、真にある意味出るべく時期に噴出した人類への挑戦であると捉えます。人類がこの地球上にあって、他の生物を押しのけて、わがままに振舞って来た。COVID-19禍の前に何があったでしょう、地球の温暖化、海洋汚染、巨大台風、洪水、熱波、森林の消失、絶滅危惧種の増加など、地球の環境バランスが著しく歪んでしまい、そうした中でのウイルスの逆襲ともとれるわけです。
世界の指導者が「これは戦争である」と警鐘をならしたように、このCOVID-19感染とこの武漢ウイルスの本質は現在尚進行形の人類が直面する大禍です。人類が結束して立ち向かわなければなりません。決して油断してはなりませんし、決して侮れる敵ではありません。まずは、しっかりとCOVID-19武漢ウイルスの性状を明らかにし、ウイルスの感染力を如何にすればそぎ落とせるのか、本ウイルスに対する抗ウイルス剤の開発、そして、人の感染防備能の向上と免疫系を含めた生体防御の仕組みの改善を図る。
そうしながらも始まってしまった、COVID-19戦争をどのラインで収めるかの見通しを立てるべきです。ウイルスとの戦いは奥深い、困難な道程となりましょう。しかし、英知を結集すれば、必ず落ち着くべき線に落ち着くはずです。完膚なきまで相手を叩きのめすという道はないと考えます。どこかで、共存する方策を立ててゆかなければならないであろう、人類の生きざまも少しく方向転換をする時期に来たと考えます。
老齢日本に降りかかった今日のコロナウイルス災禍を通して、日々の覚悟を明らかにし、御一人おひとりの英知を結集して解決に導き、世界の人々に対しても、毅然たる態度で希望を与えられる国民でありたいものです。
加藤:先生本日はご多忙の中、時宣を得たお話をお聞かせ頂き、ありがとうございました(本対談は、加藤百合枝の質問から急遽メール上で実施されたものであり、記録編集は岩﨑真樹が担当した)。

COVID-19 時代を生きる ヒントはパーキンソン病に


コロナ禍の時代を生き抜くために
鎌ケ谷総合病院千葉神経難病医療センター センター長 湯浅 龍彦 

2021/03/26
SGPAM 特別例会「パーキンソン病とピンポン」
湯浅龍彦講演「パーキンソン病と腹の虫」
事務局:
〒168-0081
杉並区宮前1-20-29
シャンボール高井戸203
gunkojin@gmail.com

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