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Disease-modifying therapy (DMT)の概念と実際
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Disease-modifying therapy (DMT)の概念と実際

 
徳島大学病院脳神経内科 藤田浩司
 
 

Disease-modifying therapy(DMT)は疾患修飾療法、つまり「疾患」を「修飾」する治療である。わかりやすく言えば、病気の経過を変えて健常に近づける治療である。再発予防や進行抑制が目的で、通常は慢性疾患に対する治療である。薬のことはdisease-modifying drug (DMD, 疾患修飾薬)と呼ぶ。DMTは通常、疾患の病態機序を踏まえて、それをターゲットにして開発される。したがって、病態機序の理解が必要となる。DMTが用いられる疾患の例として多発性硬化症(multiple sclerosis: MS)がある。MSでは神経線維を絶縁するミエリン(髄鞘)が壊される。神経系の情報は電気信号でやりとりされるが、ミエリンが壊されると(脱髄)、その部分の信号が上手く伝わらなくなり様々な神経症状が出る。ミエリンを壊しているのは自分の免疫である。このように免疫系に異常が起こり自分の体の組織を外敵と見なし攻撃してしまう病気を「自己免疫疾患」という。MSでは遺伝因子と環境因子の相互作用が関与する。環境因子(ビタミンD、喫煙など)はコントロールしうるもので、予防につながる。免疫細胞としては末梢のリンパ球 (T細胞、B細胞)、骨髄細胞、中枢神経系のグリア細胞 (ミクログリア、アストロサイト)などが関与する。【DMT例1】フィンゴリモドは再発寛解型MSに対する経口の再発予防薬である。 フィンゴリモドはリンパ球がリンパ節・脾臓などのリンパ組織から出て行くのを抑える。体内を循環するリンパ球の数、中枢神経系に入っていくリンパ球の数も減り、MS再発が抑えられる。【DMT例2】ナタリズマブはリンパ球(T細胞)の表面にあるインテグリンをブロックすることで、T細胞が中枢神経系に入るのを阻止する。まとめると、DMTは再発予防や進行抑制が目的である。神経疾患のうち多発性硬化症(MS)を例に説明したが、アルツハイマー病などでも開発が進められている。今後、発症前に開始して発症予防することも視野に入る。
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