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パーキンソン病とピンポン
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2021年特別例会
加藤、片桐、湯浅龍彦、坪井義夫、渡辺宏久 
パーキンソン病の患者さんがピンポンをすると体調が良くなると話しておられ、他にも数例の事例があった。脳とピンポンの関係はどうなっているのか考えてみる必要があると考え専門に研究している先生方に声をかけ座談会を開催しました。動画も公開しますので詳しくはこちらもご覧ください。
2021/09/26

<抄録>「パーキンソン病とピンポン」
松原奈絵、河野美砂子、加藤百合枝、片桐朝子、
渡辺宏久、坪井義夫、湯浅龍彦

はじめに
 パーキンソン病(PD)は動作緩慢、固縮、振戦を3 徴とする疾患で、一般に基底核疾患とされています。卓球は、PD 患者会でも人気の種目でしたが、ニューヨーク在住のミュージシャンNenad Bach 氏が、パーキンソン病を発症し、一時は音楽活動断念にまで追いやられましたが、卓球を始めましたら、再び音楽が可能になったのです。
 その体験をもとに、「ピンポン・パーキンソン」という活動が開始されました。
 今回、患者さんの体験談をお聞きし、諸先生方から脳のメカニズムのお話を伺い、この不思議を解き明かすKey を探ります(N.M)。

「卓球と私」
 卓球を始めるきっかけは、友人の加藤さんが世界女王になったことで、夫を相手に毎日ラリーを続けています。卓球を始めて気付いた変化は、車の車庫入れのバックの操作がスムーズになったこと、クロスステッチの刺繍が手際よくなったこと。不思議な事にオフでも卓球台の前に立つと動けるので何とか打ち続けると25 分過ぎた頃にカチッとスイッチが入る感覚で自前のドーパミンが出るのです(M.K)。

「世界PD 患者卓球選手権大会に参加して(1)」
右足に振戦があるため、フォアハンドが打ちづらい、その克服方法の一つとして、卓球の試合に出場しました。試合はすごく緊張もしましたが、集中もします。きちんと練習されていれば克服できるかもしれません。方法は一つではないはずです、卓球には大きな可能性があります。お互い頑張りましょう(Y.K)。

「世界PD 患者卓球選手権大会に参加して(2)」
車いすが白球を追いかけ、ラケットが宙を舞う。お父さんが立ち上がっている。「お父さん!」やっている本人は平気な顔でニヤリ。目を離さないで下さい。手を離さないで下さい。応援も声を張り上げやりましょう。楽しさに向かって好きな事、出来る事、それがピンポンなんだと思うようになりました。苦しみや悩み、その裏側にあるパーキンソン病のことを語り合いたい(A.K)。

「パーキンソン病と脳のネットワーク」
 ヒトの脳は加齢に伴って萎縮しますが、加齢に伴ってむしろ良くなる認知機能も数多くあることが知られています。脳のネットワークは大きく分けて、1) デフォルトモード
ネットワーク:認知機能に関連する内面的志向のタスクに集中しているときに活発になるネットワーク、2) 多種感覚統合ネットワーク:様々なネットワーク同士をつなぐネットワーク、3) 一次情報処理関連ネットワーク:運動、感覚、視覚、聴覚になるネットワークの3 つのグループがあることが分かっています。
 卓球は、戦略を練ることで2)のネットワークが、またボールを見て、音を聞いて、体を動かすことで3)のネットワークが鍛えられ、更にこれらを通じて2)と3)の関係が改善する可能性があると期待しています(H.W)。

「パーキンソン病と卓球」
 パーキンソン病の方々にとって、運動は薬と同じくらい健康や機能の維持に必要です。卓球は楽しく、誰にでもできるスポーツであり、多くの種類の運動が含まれます。ピンポン玉が飛んでくる視覚的刺激、卓球台にぶつかる音による聴覚刺激、球をうまく返した時の達成感などが普段使わない脳の機能を働かせます。
 この卓球運動では会話、着替え、立ち上がりなどの日常動作が改善しました。卓球を定期的に取り入れることは、パーキンソン病症状を緩和し、可動性、柔軟性、バランスの改善に役立ちます(Y.T)。

「前頭葉・辺縁系と小脳と基底核の関連」
 あらゆる運動は、大脳辺縁系や視床下部のモチベーションの高まりから始まります。脳には、膨大な感覚系と左右両翼に配置された小脳と大脳基底核という2 大制御系の存在が浮かび上がってきます。
 卓球の運動は、企画・始動・実行を孕んだサーブと素早く相手の球に反応するレシーブ・ラリー、そして相手の隙をつくスマッシュに区分出来ます。サーブは、球筋、回転、スピードなどをどう配置するかの意図を秘めた運動です。大脳基底核、大脳辺縁系、前頭葉の運動野の連合結果が反映されます。他方、レシーブやラリーは、早い反応であり、小脳を介する早い予測運動が主体です。そして、スマッシュは、早い反応であると同時に無意識のうちに相手の虚を突くべしとの意図を孕んだ運動であり、小脳基底核と前頭葉の咄嗟のコラボレーションから成り立つと想像されます(T.Y)

SGPAM 特別例会「パーキンソン病とピンポン」

湯浅龍彦講演「パーキンソン病と腹の虫」

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